力学で使われる用語

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「系」「力学系」

簡単に言えば運動方程式に乗るような数学的なモデル。

最も単純な例は一個の質点。以下複雑さを増していくと、棒のような固定された長さのある二つの質点で結ばれた物体。棒ではなくバネのような互いに長さが変わるけど束縛された物体、束縛されないけど互いに相互作用する粒子群、複数の粒子、もっと数が多ければアボガドロ数個の粒子群というより気体も力学系であるが重心が取れる条件となる。大きさが違っても太陽系も原子も力学系。最後は流体ですけどこれも重心が取れる条件となる。

自分としてはいくつかの質点が互いに相互作用しているけど全体として独立しているようなイメージを持っている。

「状態」

方程式から導き出された質点の関数はf(x,y,z,vx,vy,vz,t)=0の様に表され、ある時刻における質点の座標と速度を表している。このように関数で表される力学量の様を系の状態という。さらに複雑な系だと回転速度とか振動の力学量が加わってくる。

「自由度」

系の位置の状態を表すに最小必要な変数の数。 棒であれば5、バネで結ばれた粒子なら6です。

「質点とは」

高校物理では大きさを持たないと定義されているが、大きさを持つとはどういうことから始めるとワケワカメになる。というのは棒のような両端が固定された物体の力学状態を知るにはx,y,z,vx,vy,vzだけでは足りない。棒の位置や速度がわかっても、その棒自体がどのような運動しているかの情報が必要である。ある時刻にどの方向に向いているかはさらに二つの変数が必要で、例えば棒の中心に座標を設けてどの方角なのか測定する必要がある。さらにどのくらいの速度で回っているかの測定も必要。こうなるとやや複雑となる。さらに棒ではなくバネで結ばれた系ではバネの中心に置いた座標では撞径方向の情報も必要となる。

こういうことが問題になるのは系のエネルギーを考えた場合、バネにつながれた系ではエネルギーは運動エネルギーの他に回転エネルギーや振動エネルギーも考慮しなくてはいけないので複雑になる。熱力学ではエネルギー等分配の法則というのがあり、複雑な系ほど熱容量が高くなる。

ここであらためて大きさを持たないとはどういうことなのか考えてみると一つの疑問が生じる。高校数学で極限という概念を習った。

つまりバネでつながれた系を無限に小さくすれば大きさを持たないということになりはしないか。もしそうだとすれば変数の数がいつから6から3になるかが不思議だった。質点とは大きさを持たないという定義に従えばこのような疑問が生じてくる。

ということは定義がおかしいのではないか、大きさを持たないとは描像であってもうすこしまともな言い方が有るはずだ。そこでこう定義をおこなう。「ある力学系の座標が(x,y,z)のみで記述される場合を質点と呼ぶことにする」つまり内部自由度が存在しない理想的な粒子である

なぜこのような理想的な系を考えるのは話の出発点としてもっともシンプルな形を取るのは理解のうえでやりやすいと思えます。