質点とは

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 高校物理では大きさを持たないと定義されているが、大きさを持つとはどういうことから始めるとワケが分からなくなる。というのは例えば棒のような両端が固定された物体の力学状態を知るにはx,y,z,vx,vy,vzだけでは足りない。棒の位置や速度がわかっても、その棒自体がどのような運動しているかの情報が必要である。ある時刻にどの方向に向いているかはさらに二つの変数が必要で、例えば棒の中心に座標を設けてどの方角なのか測定する必要がある。さらにどのくらいの速度で回っているかの測定も必要。こうなるとやや複雑となる。さらに棒ではなくバネで結ばれた系ではバネの中心に置いた座標では撞径方向の情報も必要となる。

こういうことが問題になるのは系のエネルギーを考えた場合、バネにつながれた系ではエネルギーは運動エネルギーの他に回転エネルギーや振動エネルギーも考慮しなくてはいけないので複雑になる。熱力学ではエネルギー等分配の法則というのがあり、複雑な系ほど熱容量が高くなる。

ここであらためて大きさを持たないとはどういうことなのか考えてみると一つの疑問が生じる。高校数学で極限という概念を習った。

つまりバネでつながれた系を無限に小さくすれば大きさを持たないということになりはしないか。もしそうだとすれば変数の数がいつから6から3になるかが不思議だった。質点とは大きさを持たないという定義に従えばこのような疑問が生じてくる。

ということは定義がおかしいのではないか、大きさを持たないとは描像であってもうすこしまともな言い方が有るはずだ。

そこでこう定義をおこなう。「ある力学系の座標が(x,y,z)のみで記述される場合を質点と呼ぶことにする」つまり内部自由度が存在しない理想的な粒子である。

なぜこのような理想的な系を考えるのは話の出発点としてもっともシンプルな形を取るのは大変意義深いことと思えます。